【曲紹介】メイン曲!アルプスの情景が目に浮かぶ名曲『アルプスの詩』
パンフレットのために書いていただいた曲紹介をWebサイトで公開しています!
第2部の最後にお送りするメイン曲が『アルプスの詩』です。
吹奏楽界では言わずと知れた名曲である本曲。アルプスのどのような場面が描かれているのでしょうか。
「予習をして演奏を聴きたい!」という方はリンク先の音源・映画と合わせてぜひご覧ください。
アルプスの詩 / F.チェザリーニ
スイスの作曲家、F.チェザリーニの作品。彼の代表曲には『交響曲第一番 アークエンジェルズ』や『青い水平線』がある。チェザリーニの作品は、30分を超える長大なものも多い。特に、目に浮かぶような風景描写は非常に魅力的だ。
今回演奏する『アルプスの詩』は、オーケストラの曲として著名な『アルプス交響曲』の作曲者であるR.シュトラウスの没後50周年を記念して作曲された。そのため、本曲ではウインドマシーンや2セットのティンパニを使用するなど、『アルプス交響曲』を連想させる点が多い。
本曲は7つの楽章からなる楽曲で、すべての楽章は連続して演奏される。
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I. 霧 (NEBBIA) 霧に包まれたアルプスの山々の情景が描写される。
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II. 憂愁 (DELLA MALINCONIA) 哀愁を帯びた旋律が低音楽器により奏でられる。悲しくも情熱的な音楽に心が奪われる。
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III. 思いがけない光 (LUCE IMPROVVISA) 山々に光が差し込む情景が 描写されており、力強い音楽が続く。
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IV. 精神活動 (OPERATIONES SPIRITUALES) 先の楽章から一転して、叙情的な旋律がフルート、オーボエ、イングリッシュホルンによって演奏される。アルプスに暮らす人々の穏やかな心の様子を表しているのだろうか。
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V. 牧草地 (ALPEGGIO) 高原の牧草地が描写される。カウベルによって牛の放牧の様子が表される。ホルンやトランペットによって、山に響き渡るやまびこや、草原のざわめきなどが効果的に描かれ、アルプスの高原が鮮明に目に浮かぶ。
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VI. 嵐 (TORMENTA) 全体の強奏により、自然の脅威が荒々しく表現される。特にウインドマシーンによって描写される、風の吹き荒れる様子が印象的だ。嵐が収まったあと、冒頭の霧の情景の再現を経て最後の楽章へ向かう。
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VII. 神の国 (DELLO STATO DIVINO) 雄大なアルプスを思わせる非常に情緒的な旋律が心を打つ。最後は、2セットのティンパニによる打ち込みが全体を支配し、壮大なフィナーレに向かっていく。ぜひ各場面の情景を思い浮かべながら聴いていただきたい。
(文 吉崎高士)