【曲紹介】心に響くメッセージと感動的な音楽を持つディズニー映画『ポカホンタス』より
パンフレットのために書いていただいた曲紹介をWebサイトで公開しています!
第2部の1曲目『「ポカホンタス」より』は、ディズニーのアニメーション映画『ポカホンタス』のサウンドトラックをメドレーにした楽曲です。
ディズニー映画の中ではあまりメジャーではない「ポカホンタス」ですが、実は、心に響くメッセージと感動的な音楽を持つ名作です。
ぜひ、リンク先の音源と合わせてお読みください。
「ポカホンタス」より / アラン・メンケン 作曲・宍倉晃 編曲
本作は、1995年にウォルト・ディズニー・スタジオが公開したアニメーション映画『ポカホンタス』より、その音楽をメドレー形式に編成したものである。
ポカホンタスと聞くと、ディズニーの中ではあまり馴染みのない作品かもしれない。しかし、ディズニー史上初めて歴史的な逸話をテーマにしており、さらに「アメリカ建国史」のいわばダークサイドをアメリカの映画製作会社自身が取り上げているといった点で、かなり画期的な作品の一つである。
物語の舞台は17世紀初頭の北アメリカ。先住民族パウアタンの首長の娘ポカホンタスは新大陸を目指しやってきたイギリス人冒険家のジョン・スミスと出会い、2人は恋に落ちる。しかし、惹かれ合う2人とは裏腹にパウアタン族と探検隊の対立は深まっていき、ある事件が決定打となって全面的な戦闘へと発展していく。その中でポカホンタスの知恵と勇気、そしてジョンとの愛が印象的に描かれた作品である。少しあたりを見渡せばこの作品と似たようなことがあちこちで起こっている昨今、『ポカホンタス』が与えてくれるメッセージはもはや他人事として片付けられないのかもしれない。
今回演奏する吹奏楽版は、ポカホンタスとジョンの出会いのシーンで流れる、美しくもどこか切ない音楽『Listen With Your Heart』で幕を開ける。パウアタン族を思わせる旋律が後に続くと思いきや一転、曲は探検隊とパウアタン族とが互いに「Savages(野蛮人め)!」と罵り合い、憎しみ合うナンバー『Savages』へと変わる。私利私欲の塊であるラトクリフ総督に扇動された探検隊と、仲間が犠牲となり報復に燃えるパウアタン族との対立が、攻撃的かつおどろおどろしい曲調で描かれている。その傍ら、何とか戦いを止めようと奔走するポカホンタスの様子が、木管楽器を中心に、鮮やかに表現される。緊張が最高潮に達すると曲は穏やかなテンポに移り変わり、主題歌『Colors of the Wind』の旋律が木管楽器によって奏でられる。曲は徐々にクライマックスへと向かい、2人の永遠の別れを象徴する曲『Farewell』が劇的に歌いあげられる。
ディズニー音楽の巨匠、アラン・メンケン氏とスティーブン・シュワルツ氏によって紡がれる名曲の数々を、ぜひお楽しみいただきたい。
(文 木戸明日香)